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そらいろ

見てないようで、見てたり。 考えてないようで、考えてたり。 そんなこんなを描いていく テキトーぶろぐ!
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No  293

全力投球

自分としては、これ以上ない速さの球を投げたつもりだった。

心臓が痛くなるくらい、全身全霊で。

泣きたくなるくらい、心を震わせて。

でも、相手の取った行動は一目で見て分かるバント。

本当なら、空振りでもいいからフルスイングで勝負して欲しかった。

気持ちよく打ち上げてくれたのなら、
これからも負けじと命をかけて投げようと思ったのに。

バント。

それも、こちらの期待にこたえない形の。

自分本位で、こちらを見てくれない行動。

同じ気持ちを求めた自分がいけないのか?

そう思いたくなるほどの衝撃を相手の行動に見出す。

そう思いたくない自分に唇を噛む。

口の中に広がる鉄と現実の味。

声にならない声で口ごもる。

泣きそうになる、泣きたくなんてないのに。

膝が折れてしまいそうになるのを気力と二本の腕で支える。

まだ、終わっていないんだ。

思考を巡らせ自分を奮い立たせようとする。

あれは、あいつにとっての全力のバントだったのかもしれない。

気持ちは同じでも、行動が違っただけかもしれない。

人の想いは、人それぞれだ。

自分が思う形でなんて求めちゃいけない。

そうだよ、そうなんだよ。

大人になれよ、わかってやれよ。

そう、言い聞かせている自分がいた。

言い聞かせなきゃ、立っていられない自分がいた。

情けなかった。

結局こちらも自分本位で、相手のことなんかちっともわかっていない。

だから、理解したんじゃなくて、言い聞かせたんだ。

自分の都合のいいように、自分を言いくるめようとした。

相手の本心なんて、まだ聞いてない。

見つめる先は遠いバッターボックス。

目と目があってもおかしくないのに、何も見えない。

今確かめる方法はただ球を投げることだけだ。

他には何もできない。

だから、投げる。

意を決して、今の想いで投げる。

霞む視界。

離れる想い。

球は自然と速度を落としていく。

様子を見るように。

その球はまだバッターボックスには届いていない。

見るからに情けない速度で自分の前を泳いでいる。

これがあいつのもとに届いたとき、今度はどのように返されるのだろう。

その思いが今は胸を占める。

絞めつけて離さないほどに。

伝えることって難しい。

会話のキャッチボールなんてよく言うけれど、
想いが重ければキャッチボールなんかじゃ済まない。

高校球児並みの真剣勝負だ。

日頃の想いをこめて投げたボールも簡単には受け取ってもらえない。

打ち返してすらくれないのなら、どうしたらいいのだろうか。

想うだけじゃ足りない、

言葉にするだけじゃ足りない、

触れあうだけでもまだ足りない。

子どもみたいに甘えることも許されず、
突きつけられる現実の味は怪我をした時の血の味に似ている。

どうしたらいいのか、

そんな問いを浮かべることすら馬鹿げたことであるようだ。

今は模索するしかない。

相手と自分を信じて。

一瞬の真剣勝負に

怯んでしまいそうな気持ちを奮い起して。
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